恩を次世代へ繋ぐ生き方 – 受けた恩を後輩に返した私の経験

恩を次世代へ繋ぐ生き方 - 受けた恩を後輩に返した私の経験


人生において、誰かから受けた恩をどう返していくべきなのか。

この問いは、多くの人が一度は考えたことがあるテーマではないでしょうか。

私自身も長い社会人生活の中で、先輩から受けた計り知れない恩と、それをどう次の世代に繋げていくかという課題に直面してきました。


若き日の甘えと先輩の温かさ


20代から30代にかけて、私は何度も先輩方に甘えてきました。

当時を振り返ると、自分の要望を通すことに必死で、相手の立場や気持ちを十分に考えていなかったように思います。

願い事や依頼を口にする時、「先輩だから」という甘えが無意識のうちに態度に表れていたのでしょう。

押しの強さだけが先行し、時には先輩から厳しく叱責されることもありました。

しかし今となっては、そうした叱責も含めて、全てが私を成長させてくれた貴重な経験だったと理解しています。

現在の自分があるのは、紛れもなくあの時の先輩方のご恩があったからです。


人生を変えた一本の電話


ある日、先輩との飲み会の席で、私の人生を大きく変える話が持ち上がりました。

「こんな奴がいるんだよ。不動産会社に専務として入って、たった3年で1億円を貯めた男がいるんだ」先輩は興味深そうに話を続けました。

その会社では20億円以下の物件は扱わないという徹底ぶり。

ただし、その専務は「札束で叩かれても我慢できる精神力を持った人材」を探しているとのことでした。


人間関係は相当厳しいものになるだろうという警告付きで。

「なんで俺なんですか?」

そう尋ねた私に、先輩はこう答えました。

「推薦できる人間を考えた時、真っ先にお前の顔が浮かんだんだよ」

その言葉の重みを、当時の私は十分に理解していたでしょうか。

バブル全盛期という時代背景もあり、私は大きな決断をしました。


厳しい環境での成長と別れ


中途入社したその不動産会社で、私は専務の下で必死に働きました。

確かに人間関係は厳しく、理不尽と思えることも多々ありました。

しかし、何度か会社の業績を好転させる機会に恵まれ、社内で表彰を受けることもできました。

専務の期待に応え、その顔を立てることができた瞬間は、今でも誇らしい記憶として残っています。

年収は大幅に増え、社内の海外研修にも参加させていただきました。

充実した日々を過ごしていましたが、やがてバブル経済の崩壊という大きな波が押し寄せてきます。

会社は解散を余儀なくされ、私の転機は突然訪れました。

さらに心を痛めたのは、私を推薦してくださった先輩の訃報でした。

先輩ご自身の事業も厳しい状況にあったようで、出張先のホテルで急逝されたのです。

恩返しをしたいとずっと考えていましたが、その機会は永遠に失われてしまいました。


恩を次の世代へ繋ぐという選択

恩を次世代へ繋ぐ生き方 - 受けた恩を後輩に返した私の経験



その後、私は別の会社に転職し、幸いなことにそれなりの地位を得ることができました。

そんなある日、以前から知っていた後輩から連絡がありました。

「入社させていただけないでしょうか」

その言葉を聞いた瞬間、私は過去の自分の姿を見ました。

かつて私も先輩に同じようなお願いをしていたのです。

先輩は私の無理な要望を聞き入れ、人生を変えるチャンスを与えてくださいました。

亡くなった先輩に直接恩返しをすることは、もう叶いません。

しかし、受けた恩を形を変えて次の世代に渡していくことはできる。

そう考えた私は、後輩の入社を承諾しました。



恩送りのウィキペディア


恩とは目に見えない人生の財産


恩というものは、数字で測ることができません。

目に見える形で存在するものでもありません。

しかし、確かにそこに存在していて、人の人生を大きく左右する力を持っています。

私自身がその力を実感として体験してきました。

先輩から受けた恩を、別の人に返す。

これは決して「代用品」ではなく、恩の本質的な繋がり方なのだと思います。

なぜなら、恩を与えてくれた先輩自身も、きっとその前の世代から何かを受け取っていたはずだからです。


「与えた恩は忘れ、受け取った恩は一生覚えていく」という生き方

恩を次世代へ繋ぐ生き方 - 受けた恩を後輩に返した私の経験

この言葉は、単なる美徳を説く格言ではありません。

人間関係を豊かにし、自分自身の精神を成熟させていくための、実践的な指針だと私は考えています。

与えた恩を覚えていると、どこかで見返りを期待してしまいます。

「あれだけしてあげたのに」という思いが芽生え、人間関係にひびが入ることもあるでしょう。

一方で、受けた恩を忘れずに心に刻んでおくと、感謝の気持ちが自然と次の行動へと繋がっていきます。

私は後輩を採用した時、先輩への恩返しをしているという意識はありませんでした。

ただ、自分が受けた温かさを次に渡したいという自然な気持ちがあっただけです。

そしてそれこそが、恩を繋いでいくということなのだと、

今では理解しています。


まとめ – 恩は巡り巡って社会を支える


人生の中で受けた恩は、必ずしも同じ相手に返す必要はありません。

むしろ、次の世代へ、周囲の人々へと繋いでいくことで、恩の輪はより大きく広がっていきます。

私が先輩から受けた機会と信頼を、後輩に渡すことができたように、その後輩もいつか誰かに同じことをするでしょう。

こうして恩は世代を超えて受け継がれ、社会全体を支える見えない絆となっていくのです。

「与えた恩は忘れ、受け取った恩は一生覚えていく」

この言葉を胸に、これからも周囲の人々との関係を大切にしながら、受けた恩を次へと繋げていきたいと思っています。

それが、私に機会を与えてくださった先輩への、最良の恩返しになると信じて。




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